近年サイバー犯罪は、ますます巧妙化し、製造業を含むあらゆる産業でその脅威が深刻化しています。特に工場においては、生産ラインの停止や生産機械の不正操作による事故や機密情報の漏洩といった、甚大な被害をもたらす可能性があります。
このような状況下で、多くの企業が工場のセキュリティ対策の一つの手段としてIDS(侵入検知システム)の導入を検討しているのではないでしょうか。
効果的にセキュリティ対策を行うためには、適切な計画と実行が不可欠です。
本コラムでは、工場でのIDS導入の進め方、情報システム環境向けIDSとの違い、求められる機能など工場(OT)環境向けIDS導入のポイントをわかりやすく解説します。
工場は、IoTデバイスやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などを始めとする、多種多様なネットワークに接続されており、外部からの攻撃を想定した対策が必要です。
IDSは、ネットワーク上の不正な活動を検知し、管理者に通知することで、サイバー犯罪による被害を未然に防ぐことができます。
・早期検知: 侵入を早期に検知し、被害を未然に防ぐことができます
・事後分析: 攻撃の詳細な分析が可能となり、今後の対策に活かせる
・セキュリティ意識向上: 社員のセキュリティ意識を高めることができる
情報システム環境と工場(OT)環境では、扱うデータの種類やシステムの特性が異なるため、導入するIDSにも大きな違いがあります。
情報システム向けIDSは、主にITシステムのセキュリティ対策を目的とし、外部からの攻撃や内部からの不正アクセスを検知します。一般的なネットワークプロトコルを解析し、ウイルスやマルウェア、侵入を試みる行為などを検出することが主な役割です。
一方、工場(OT)環境向けIDSは、生産設備を制御するシステムのセキュリティ対策に特化しており、ITシステムと比較して、特殊な産業用プロトコルを使用したり、リアルタイム性が求められたりするなど、独自の特性があります。そのため、OT環境向けIDSには以下の機能が求められます。
情報システム環境と工場(OT)環境では、扱うデータの種類やシステムの特性が異なるため、導入するIDSにも大きな違いがあります。
情報システム向けIDSは、主にITシステムのセキュリティ対策を目的とし、外部からの攻撃や内部からの不正アクセスを検知します。一般的なネットワークプロトコルを解析し、ウイルスやマルウェア、侵入を試みる行為などを検出することが主な役割です。
一方、工場(OT)環境向けIDSは、生産設備を制御するシステムのセキュリティ対策に特化しており、ITシステムと比較して、特殊な産業用プロトコルを使用したり、リアルタイム性が求められたりするなど、独自の特性があります。そのため、OT環境向けIDSには以下の機能が求められます。
・産業用プロトコル対応: ModbusやOPC UAなど、工場でよく使われるプロトコルの異常な通信を検知します
・リアルタイム性: 生産ラインの停止に直結するため、異常を素早く検知し、アラートを発報します
・低ノイズ: 誤検知を減らし、生産に影響を与えないようにします
・可視化機能: ネットワーク内の機器や通信状況を可視化し、異常発生時の原因究明を容易にします
・学習機能: 一定の期間、工場内の通信を学習し、学んだ通信の状態を正としてベースラインを作成します。そのベースラインから逸脱した通信を異常と判断してアラートを上げます
・資産管理: 工場の機器やシステムの情報を一元管理し、不正アクセスや改ざんを検知します
・オペレーションミス検知: 人為的なミスによるシステム停止やデータ損失を防ぐために、異常な操作パターンを検知します。工場(OT)環境向けIDSは、オペレーションミスなど、可用性を阻害するトリガーを検知することで、予期せぬ停止を防ぎ、安定した生産を支えます
IDSを導入しても、期待通りの効果が得られないケースも少なくありません。
主な失敗例と原因は以下の通りです。
(1)誤検知・過検知が多発: 誤検知や過検知が多発すると、管理者の負担が増大し、重要なアラートを見逃してしまう可能性がある
(2)導入後の運用が不十分: IDSの管理者を定め運用体制を構築した上で、定期的なメンテナンスや更新、運用ルールの見直しなどを定期的検証、改善を行わないと、効果を十分に発揮できない
(3)組織全体のセキュリティ意識が低い: IDSは、あくまで一つのツールであり、組織全体のセキュリティ意識を高めることが重要です
後編では
工場のIDSの導入で失敗しないためのポイントと成功事例から学ぶ、IDSを導入する流れを説明します。
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