
工場やインフラ設備のDXが進む一方で、多くの現場が抱える深刻な問題があります。
それは、「自社の工場ネットワークに、今、何台の機器が、どこに繋がっているのか」を正確に把握できていないという事実です。
OTセキュリティ(制御システムセキュリティ)において、なぜ「可視化」が何よりも優先されるのか。その理由と、現場を止めないための具体的なアプローチを解説します。
「シャドーOT」の増殖とサイバーリスク
長年運用されている工場では、設備の増設やメンテナンスの過程で、情報システム部門の管理が及ばない
「シャドーOT(未把握のデバイス)」が混在しがちです。
- 保守用の一時的なWi-Fiルーター
- 古いOSのまま稼働し続ける産業用PC
- 外部ベンダーが持ち込んだメンテナンス端末
これらは攻撃者にとって格好の「入口」となります。
OTセキュリティとは、単にウイルスソフトを入れることではなく、こうした「管理外の資産」をゼロにすることから始まります。
なぜ「ITと同じ手法」ではいけないのか?
ITの世界では、ネットワーク上の機器を探す際に「アクティブスキャン(パケットを送信して応答を確認する)」が一般的です。
しかし、繊細な制御を行うOT環境でこれを行うと、古い通信プロトコルが処理しきれずに設備が誤作動したり、最悪の場合停止したりするリスクがあります。
ここで求められるのが、「パッシブ(受動的)モニタリング」という手法です。
通信を傍受するだけで、稼働中のシステムに一切負荷をかけずにデバイスの種類やOS、脆弱性を特定する技術が、現代のOTセキュリティのスタンダードとなっています。
可視化がもたらす「3つのメリット」
単に「安心」を得るだけでなく、資産を可視化することは実務上の大きな利点をもたらします。
- 脆弱性管理の精度向上: どの機器にパッチが必要か、古いOSがどこにあるかが一目で分かります。
- インシデント対応の迅速化: 万が一の異常検知時、影響範囲が即座に特定できるため、ダウンタイムを最小限に抑えられます。
- コンプライアンス対応: IEC 62443などの国際標準や、業界ごとのガイドライン(経済産業省の「工場システム向けサイバーセキュリティガイドライン」など)への適合が容易になります。
現場と経営を繋ぐ「資産管理」
OTセキュリティは、現場のエンジニアとIT部門、そして経営層が共通の言語で話す必要があります。
その共通言語こそが「資産台帳」です。
現状を可視化し、リスクをスコアリング(点数化)することで、どこに優先的に予算を投じるべきかの意思決定がスムーズになります。
「止まらない工場」は、正確な現状把握の上にしか成り立ちません。
NTTセキュリティでは工場の資産台帳作成を支援するソリューション資産台帳作成支援(OT Network Asset Discovery)があります!
注意:正確な情報の確認について本記事では、一般に公開されている資料をもとに内容を構成しています。
制度や規制の詳細については、必ず関係機関が発行する公式文書をご確認ください。
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