
「うちはインターネットに繋いでいないから大丈夫」 「古い設備ばかりだから、ハッカーも狙わないだろう」
もし、貴社の現場でこのような声がまだ聞かれるなら、それは経営リスクそのものです。
本記事では、OTセキュリティの現在地を紐解きながら、なぜ今、最初の一歩としてセキュリティアセスメントが必要不可欠なのか、その理由を解説します。
崩れ去った「安全神話」と工場の現実
かつて、工場の制御システムは外部ネットワークから遮断された「閉域網」であること自体が最大の防御策でした。しかし、その神話は過去のものです。
1. 境界線の消失
生産効率向上のために導入されたIoTセンサー、リモートメンテナンス用の回線、あるいは従業員が持ち込むUSBメモリや業務用PC、設備メーカーの保守担当が持ち込む保守用PC、これらが「見えない抜け穴」となり、マルウェアは容易に閉域網内へ侵入します。
2. サイバー攻撃のターゲットの変化
近年、攻撃者は金銭的なリターンを最大化するため、情報の「窃取」ではなく、事業の「停止」を人質に取るランサムウェア攻撃を多用しています。一度ラインが止まれば、数億円、数十億円の損失が発生する製造業は、彼らにとって格好の標的です。
国内外で発生した自動車部品メーカーや半導体工場の操業停止ニュースは、決して対岸の火事ではありません。攻撃者は「セキュリティの甘いところ(サプライチェーンの弱点)」から侵入し、本丸である工場機能を麻痺させようと狙っています。
ITとOTの決定的違い:なぜ対策が進まないのか?
「セキュリティ対策なら情報システム部(IT部門)に任せている」という経営層の声もよく聞かれます。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
ITセキュリティの常識は、OT(工場)セキュリティでは通用しないことが多いのです。
守るべきものの違い
- IT: 機密性(Confidentiality)が最優先。データが漏れないことが重要。
- OT: 可用性(Availability)が最優先。ラインが止まらないこと、安全に動き続けることが絶対条件。
ライフサイクルの違い
- IT機器は数年でリプレースされますが、工場設備は10年、20年と使い続けられます。結果として、サポート切れのOS(Windows XPや7など)が稼働し続ける「レガシー資産」が多く残っています。
「ウイルス対策ソフトを入れたら、システムの動作が遅くなり正常な動作をしなくなった」「パッチを当てたら古い設備が動かなくなった」。
こうしたトラブルを恐れるあまり、現場はセキュリティ対策に及び腰になり、結果として脆弱な環境が放置され続けているのが実情です。
最初の一歩は「高価な防御システム」ではない
では、どこから手をつけるべきでしょうか?
多くの企業が陥る失敗パターンは、現状を把握しないまま、いきなり高額なファイアウォールや侵入検知システムを導入しようとすることです。
何がどこにあり、どのようなリスクがあるのか分からない状態で導入するセキュリティ製品は、穴の開いたバケツに水を注ぐようなものです。まず必要なのは、「資産の棚卸し」と「リスクの可視化」です。これを専門的に行うのがセキュリティアセスメント(現状診断)です。
セキュリティアセスメントで得られる3つの価値
- 「見えない資産」の発見
現場担当者さえ把握していない「野良デバイス」や、忘れ去られた通信経路を洗い出します。 - リスクの優先順位付け
すべての脆弱性を即座に修正ことは不可能です。「どの設備が止まると致命的か」「どこが最も攻撃されやすいか」を分析し、対策の優先順位を明確にします。 - 現場と経営の共通言語化
「なんとなく危険」ではなく、具体的なリスクを可視化することで、工場(OT)、情報システム(IT)、経営層が同じ危機感を共有し、予算確保や対策実行への合意形成がスムーズになります。
「止められない工場」のための、負担のない診断アプローチ
「診断のためにラインを止めるわけにはいかない」 「診断にかける予算も人手も足りない」
こうした現場の声に応えるため、現在ではOT環境に特化した診断手法が確立されています。アクティブに通信パケットを送信し情報を取得するような診断ではなく、ネットワークを流れるデータをパッシブに収集・分析する手法であれば、工場の稼働に一切影響を与えずに詳細な現状把握が可能です。
NTT Securityの「OTセキュリティ簡易診断」という選択

セキュリティ対策は、完璧を目指すとキリがありません。
しかし、何もせずに放置することが最大のリスクです。まずは「自社の健康状態」を知ることから始めませんか?
「何から始めればいいかわからない」というお客様こそ、まずはWebから無料でできる簡易診断をお勧めします
自社の工場の「真の姿」をご確認ください。可視化こそが、強固な工場セキュリティへの確実な第一歩です。
約15分で現状を把握できる「OTセキュリティ簡易診断」
OTセキュリティ簡易診断は、経済産業省が策定した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン(工場セキュリティガイドライン)」に準拠。約30項目で、「組織」、「運用」、「技術」、「工場サプライチェーン管理」の観点を網羅しています。およそ15分で全ての項目に回答できます。

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